童謡ってなんなんでしょうね?
子供のために作られた歌であることは確かなんだけどね。
前回「唱歌って なんなの?
」で書いたように、唱歌の定義は「文部省が学校教育用に作った(選定した)歌」とか「音楽の授業で教わった歌」といったところなんだけど、これもどちらを採るかによって意味合いがだいぶ違ってくるよね。まあ、文部省がらみの歌ってことには違いないか。
ロックの定義
よりはわかりやすいよねー。
じゃあ、童謡の定義ってなんでしょう?
江戸時代にはすでに童謡という言葉があって、それは「わらべうた」を意味していたんだって。
わらべうたというのは、「だるまさん」「げんこつやまのたぬきさん」「かごめかごめ」など、伝承されてきた遊び歌の類。子供の頃遊んだよね。「あんたがたどこさ」なんて鞠つきしたり。
「わらべうた=童謡」は大正時代まで続きます。
そして大正中期、さあ、ここ重要だよ。
この時期から「唱歌など子供たちの為にならん。子供の視点に立った芸術性の高い歌を作ろう」という声が上がって、「かなりや」をはじめ、「ゆりかごのうた」「七つの子」「十五夜お月さん」などたくさんの童謡が作られたんです。いわゆる「童謡運動」ってやつね。
なんだよー、わらべうたも童謡じゃん。ややこしいなあ。
ってことで、わらべうたは「伝承童謡」という表現で区別されるようになりました。
みなさーん、辞書で「童謡」を引いてみてくださーい。もうひとつ別の意味があるでしょー?
「子供が作った詩」
そうなんだよ。童謡運動と同時期に「童謡」には子供の詩っていう意味もあったんだよ。これはその後「児童詩」に落ち着いたようですね。
そんなこんながあって、現在では「童謡は子供のために作られた歌である」という認識が定着したんだよ。
あれ?・・・ごめん。ふりだしに戻っちゃった。
いや、だいじょうぶ。
だから、童謡の定義は「民間で作られた子供のための歌」ってことなのさ。
唱歌・・・官製の子供の歌
童謡・・・民製の子供の歌
といったところですかね。
でもじつは、この定義ってかなりあいまいなんだよね。
たとえばさ、
「赤とんぼ」(三木露風/山田耕筰)ってなんだと思います?
童謡? 唱歌? 歌曲?
歌詞は「中年の露風が竿の先にとまった赤とんぼを見て子供の頃を思い出す」という内容。(歌詞は著作権保護期間中につき掲載できず。すまぬ) もともと童謡運動の流れから出てきて、後に教科書に載った歌なんだよね。
う~む。。
ということで次次次次回は
「あいまいなんだよっ」です。
次回は
「小学唱歌集 初編
」です。
主要参考文献:畑中圭一「童謡論の系譜」東京書籍
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